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  • 執筆者の写真須賀雅子

⑫「刀剣」

 私は中学時代、剣道部員でしたので竹刀は手にしていましたが、「刀剣」となると全く縁も無く興味もありませんでした。

ところが最近、「刀剣」との縁が続いたのです。

その一つ目は、友人に誘われて行った朗読劇でした。

司馬遼太郎の短編「虎徹」を青二プロダクションの声優さんたちが挑まれました。物語は新撰組局長・近藤勇の愛刀「虎徹」にまつわるものです。

「虎徹」は偽物か本物か諸説ある刀剣ですが、池田屋事件では他の局員の刀剣は折れても、近藤勇の「虎徹」は無傷だったそうです。

農家に生まれながらも、「武士よりも武士らしい武士になる」と言っていた近藤勇にとって「虎徹」は、最も信頼出来る相棒だったのかもしれません。

その刀剣に対する思いが、声優さんたちの声によって見事に描かれていました。


 そしてもう一つは、京都の北野天満宮・宝物殿での宝刀展でした。

350本もの紅葉を有する名所「もみじ苑」の早朝散歩の後、宝物殿に向かうと20代と思われる若い女性の列を目にしました。刀剣を観るために若い女性が朝早くから並んでる………。私には実に不思議な光景で、近くの係員の男性に聞いてみました。すると、私が初めて耳にする言葉が飛び出してきたのです。

「刀剣女子」これは、2015年にスタートしたオンラインゲーム「刀剣乱舞」から生まれた言葉だそうです。日本刀を擬人化し、その刀剣男子たちが戦いを繰り広げ、育成していくシミュレーションゲームです。刀剣男子たちのビジュアルや声、キャラクターに魅了された若い女性たちが増えてきたそうです。

 私は初めて知ったことに心躍らせてしまう性格なので、思わず取材心にスイッチが入ってしまいました。

私   「あの〜何時から並んでいらしゃるのですか?」

若い女性「7時からです」

 開館まで2時間待つことになるのに全く苦にならないようでした。

私   「刀剣はどのような魅力があるのですか?」

若い女性「刀剣を見るきっかけはゲームですが、刀の波模様が美しいです」

 うっとりとした表情で語ってくれた刀剣女子は、各地で開かれている宝刀展にも足を運んでいるようでした。

 刀剣を通じ、他の美術工芸品を見る機会を持つのは、社寺や美術館にとっても喜ばしいことだと感じました。

私も刀剣女子に触発され刀剣を見つめていると、その輝きには非日常の美しさが感じられ、長い歴史を経て受け継がれてきた物語に惹きつけられました。


「刀剣」これまで縁の無かったものだけに、今回の出会いは実に新鮮でした。




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