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⑬「お助け博物館」

執筆者の写真: 須賀雅子須賀雅子

 今年最後の朗読は、三鷹市「太宰治文学サロン」でした。

江戸元禄時代の井原西鶴が生み出した小説を基に、昭和の太宰治が登場人物を生き生きと描き上げた「赤い太鼓」という作品に取り組みました。

 お金に困った主人公を助けるために、仲間10人が一人十両ずつ出し合うという物語なのですが、「金十両」とは現在の貨幣価値では幾らくらいになるのか?

井原西鶴の本の注釈には、約48万円とありますが、そのまま朗読会でお話しするのは不安になりました。

 そこで、私が助けを求めたのが「貨幣博物館」でした。

「貨幣博物館」は日本銀行創立100周年を記念して設置され、1985年に開館したものです。

 日本銀行本店に隣接し、日本の貨幣史や世界の貨幣を紹介する様々なコーナーが実に充実しています。しかも入館料は無料なのです。

 私が初めて「貨幣博物館」を訪れたのは、「太宰治文学サロン」で「貨幣」という作品を朗読するにあたり、作品に出てくる百円紙幣を調べるためでした。

展示物以外にも貨幣博物館職員の方が質問に答えて下さり、本当に助かりました。

 今回も、作品が発表された元禄時代の貨幣価値を検証して下さり「金十両は約48万円で宜しいでしょう」とお墨付きを頂きました。

 朗読する際に、作品に描かれている事物について出来るだけ調べると、その作品が寄り添ってきてくれるような心持ちになれるのです。

 

 「貨幣博物館」では企画展として「江戸の宝くじ・富・一攫千金、庶民の夢」を開催していました。

大勢の人が詰めかけ、当選の決まる瞬間を見守る様子が錦絵に描かれていました。いつの世も宝くじへの夢は変わらないのですね。

私は神棚に上げてある年末ジャンボ宝くじを思い出してしまいました。


 さて、今度はいつ「お助け博物館」に伺うことになるのでしょう。




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